書名:クマ祭り
副題:文化観をめぐる社会情報学
叢書名:Academic Series NEW ASIA 54
著者名:池田貴夫 著
発行日:2009.3.15
ISBN:978-4-8042-0778-0 C3339 \4000E
判型:四六判
頁数:372頁
定価:本体4,000円+税

アイヌがこの地域の民族理解に大きく影響を及ぼしてきたクマ祭り。この北の儀礼はこれまでどう題材化されてきたか。民族文化のより豊かな理解につながる情報や表現という概念に踏み込んでフィールドワークを重ね、クマ祭りとは何かという基本問題を追究

<主な内容目次>
序章―『クマ祭りという題材』の性格―
第1章 クマ祭り研究の史的展開と「情報」や「表現」をめぐる諸問題
 第1節 クマ祭りの記録・紹介・研究史
  1 記録・紹介・研究の展開
  2 まとめにかえて
 第2節 起源論・成立論の展開と現状
  1 起源論・成立論の展開
  2 現状と課題
 第3節 近年におけるクマ祭り研究再考の試み―再び、基礎研究へ―
  1 既成概念の再検討
  2 近世史料の再検討―引用から考察へ―
  3 民族考古学の動向
  4 「ヒグマ学」の試み
 第4節 クマ祭り研究における「情報」や「表現をめぐる諸問題
第2章 クマ祭りはどのように伝達されてきたか、また、されていくのか
 第1節 絵画はクマ祭りをどう伝えてきたか―特に「クマ祭り図社会」をめぐって―
  1 史実を明らかにするための絵画
  2 描かれたクマ祭り
  3 主要8シーンの構図の比較
  4 村上島之光『蝦夷島奇観』とそれを換骨奪胎した19世紀末の絵画
  5 沢田雪渓『蝦夷熊祭乃図』と橋本芳園『蝦夷風俗絵巻』の解釈
  6 「クマ祭り図社会」について
  7 史実とイメージの狭間に揺れる絵画
 第2節 記憶のなかのクマ祭り―サハリン・ニヴフにおけるクマ祭りの記憶情報とその意義―
  1 サハリンでのフィールドワークから
  2 クマ祭りの消失
  3 現代のニヴフ
  4 聞き取り調査の概要
  5 チル・ウンヴドゥ村にて
  6 ネクラソフカ村にて
  7 マスカリヴァにて
  8 ノグリキ近郊における1986年のクマ祭りと「民族の記憶」
  9 現在の語りからみたクマ祭りの近現代
  10 叙述され、語られていくクマ祭り
 第3節 クマ祭りに関する情報の伝達とその影響―近代民族誌情報との比較から―
  1 『北海記』にみるクマ祭りの多様な世界―天明5年、ソウヤの事例―
  2 『北役紀行』にみるクマ祭りの多様な世界―再び、文久3年、ハママシケの事例―
  3 「クマの仔交易」について
 第4節 ポトラッチ(Potlach)とクマ祭り―より広い視野からみたアイヌ文化理解にむけて―
  1 東北日本と北アメリカ北西海岸
  2 クマ祭りの社会的意義―北西海岸インディアンのポトラッチとの比較から―
  3 アイヌと北西海岸インディアン研究における民族文化情報の創出の隔たり
 第5節 近世史料の発掘・解釈およびより広い視野からの比較の必要性
 章末資料―『北海記』と『北役紀行』―
  1 北海道大学付属図書館所蔵『北海記』
  2 鶴岡市郷土資料館所蔵『北役紀行』
第4章 クマ祭りの分布をどう表現するか―その主体性を説明・研究するためのキーワードの模索
 第1節 北東アジア諸民族における猛獣群の文化化について
  1 北東アジアにおけるヒグマをとりまくその他の猛獣
  2 ヒグマ、ツキノワグマ、トラ、オオカミの分布と関係
  3 諸民族集団における人間と猛獣群の関係
  4 猛獣群の文化化に見られる新たな課題の発見
 第2節 北東アジア史のなかでのクマ祭り形成像・試論
  1 アイヌ民族におけるクマ祭りの形成の時間軸―民族誌から考える―
  2 北東アジアの文献史学および考古学情報との統合からみたクマ祭り形式像
  3 クマ祭りを主体的に選択する論理
 第3節 クマ祭りの分布の主体性を説明するためのキーワードの模索
終章
  1 クマ祭りの性格について
  2 題材としてのクマ祭り―文化観の形成をめぐる社会情報学的諸問題―
あとがき
文献
索引
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